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高森明勅
2017.6.13 22:00

上皇は京都へ?

6月13日、毎日放送「ちちんぷいぷい」のスタッフから連絡。

コメントが欲しい、と。

天皇陛下のご譲位後、上皇として京都に長くご滞在戴きたい、
という京都市長らの動きについて。
関係者のお気持ちは良く分かる。
まさに皇室への素直な敬愛の念の発露。
また、「千年の都」
京都の歴史への愛着と誇りの
しからしむるところだろう。
その心情は大切だ。

しかし、現実には難しい。

まず、かねて譲位への疑念として唱えられていた
「権威の二重化」
に繋がりかねない。
“東京の陛下”と“京都の陛下”
という具合に。
それが、
国民の精神的統合に大きくマイナスの作用を
してしまうのは、
容易に想像できる。
そのような事態を天皇陛下が望まれるとは考えにくい。
またご譲位後、天皇皇后両陛下は、
新しい天皇皇后両陛下を様々な形でサポートしようと
考えておられ
るのではないか。

その点からも、京都に長くご滞在になるとは想定しにくい。

その他に、京都御所の大がかりな改築など経費の点でも、
陛下のこれまでのお考えとは違って来るのではないか。

勿論、最優先すべきは陛下ご自身のお気持ちだ。

私どもの思慮の及ばない高いご判断から、
京都にお住まいになることをご希望になれば、
そのご希望を最大限尊重すべきことは言うまでもない。

しかし、これまでの陛下のなさりようからは、
上皇として京都に長くご滞在になることは、
俄に想像し難いだろう。

大体、そんな話をした。

それら以外にも、テレビ向けのコメントでは敢えて外したが、
警備上の問題も軽視し難い障害になるはずだ。

しかし、考えてみると「ちちんぷいぷい」って
関西ローカル番組だったはず。
番組制作サイドは、
もっと違うコメントを期待していたかも。

だが、やむを得ない。

放送局や視聴者の期待に合わせて発言内容を変えるなんて、
器用な真似は出来ない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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